「やらせでしょ?」から始まる、ある夜のバトル
飲食店などでメンタルマジックや催眠を演じていると、必ずと言っていいほど遭遇するのが「絶対に信じないぞ!」というガードの固い男性客。
「どうせサクラでしょ?」「そんなの、かかるわけないじゃん」
彼は隣の彼女に「俺は騙されないぜ」とクールな顔を見せます。まあ、自分の常識にないことが目の前で起きるわけですから、まずは否定して自分のプライド(面子)を守りたくなるのは、男の性(さが)なのかもしれません。
一方、女性たちはというと「えー!面白そう!」「本当にかかるのかな?やってみたい!」と、めちゃくちゃノリが良い。この時点で、男女の反応は真っ二つに分かれます。
「好き好き催眠」で、彼氏の笑顔が引きつる瞬間
そこで私は、ちょっと意地悪な(?)暗示をかけてみます。その名も「好き好き催眠」。 目の前の赤の他人を、猛烈に好きになってしまうという魔法のような暗示です。
さっきまで彼氏の隣でニコニコしていた彼女が、暗示をかけた瞬間、今日会ったばかりの私の助手や隣の客に向かって、頬を赤らめて熱い視線を送り始める……。
さあ、大変なのは見ている彼氏です。 周りのお客さんは「うわ、本当にかかってる!」「すげえ!」と大爆笑。 そんな中、彼氏はというと……
「おいマジかよ〜!本当にかかってんの?(笑)」
と、必死で周りに合わせて笑っているんですが、顔は完全に引きつっています。目は全然笑っていない。「俺の彼女に何してくれてんだ、おい!」という焦りと、「え、マジでどうなってんの!?」というパニックが混ざり合った、なんとも絶妙な表情。
この瞬間、彼のプライドは音を立てて崩れ去るわけです。

「不思議を楽しむ」女性と、「武器にしたがる」男性
面白いのは、ショーが終わった後の反応です。
女性たちは「不思議だった〜!」「ダイエットの暗示とかないですか?」と、その体験を自分の生活に活かそうとするポジティブな反応が多いんです。彼女たちにとって、催眠は自分をちょっとハッピーにする「心のサプリ」みたいなもの。
ところが、さっきまで全否定していた男性たちは、こっそり私に近づいてきてこう言います。
「……今の、誰でも練習すればできるようになりますか?」
さっきまでの「嘘だろ」はどこへやら。催眠が「本物だ」と分かった瞬間、彼らにとってそれは「攻略すべき技術」に変わります。 「これをマスターすれば、自分も誰かを思い通りにできるかも……(ニヤリ)」という、心の奥底にある支配欲がムクムクと起き上がってくるんですね。
女性を自分のものにしたい、意のままに操りたい。そんな「最強の武器」を手に入れたいという欲求が、彼らを「弟子入り志願」へと走らせるのです。
結局、人は何に惹かれるのか?
結局のところ、
- 女性は「体験(Wow!)」を楽しみ、自分が変わることにワクワクする。
- 男性は「やり方(How)」を知り、世界をコントロールすることに執着する。
という違いがあるようです。
催眠術は人を操る魔法ではなく、実は見ている人の「本音」をあぶり出してしまう鏡なのかもしれません。
もしあなたの目の前で、彼氏が急に「その術、教えてください」と言い出したら……。彼は、あなたを「もっとメロメロにさせる武器」を探している最中かもしれませんよ(笑)。

