現象
マジシャンは一枚の名刺とペンをテーブルの上に置きます。そして観客に向かって「これから予知能力の実験を行いたいのですが、お手伝い願えますか?行ってもらうことは簡単です。私が指をパチンと鳴らしたら、1〜99までの好きな数字を1つ言ってもらうだけです。よろしいですか?」
「では、数字を言ってもらう前に名刺の裏に数字を書いておきます。これが私の予言です」と言いながらマジシャンは観客に見えないように名刺の裏に数字を書いて、書き終わるとペンをテーブルの上に置いてしまいます。
「さあ、ではこれから指をパチンと鳴らしますので、その直後に思い浮かんだ1〜99までの数字を大きな声で言ってください。いきますよ!パチン」
観客「82」
マジシャン 「82ですね。では、私の書いておいた数字を確認してださい。82ですね!」
観客 「???」
マジシャン 「実験は成功しました。ありがとうございました。」
以上がよくある予言マジックの一例です。この他にもトランプを使ったものや、ESPカードを使ったものなど色々な演出の予言マジックがありますが、いずれにせよ観客がこれから行うであろう行動、選択を予め的中させてしまうものを総称して予言マジックと言います。
観客自身でさえも気まぐれで決めたであろう数字が予め名刺の裏に書かれていた時の観客の衝撃は計り知れないものがあります。
なぜ予言マジックが観客に大きな衝撃を与えるのでしょうか?それは未来という誰も知り得ないことを当ててしまうという不可能性の高さにあると思います。メンタリズムには観客しか知り得ないプライベートな情報(誕生日、初恋の相手の名前、暗証番号など)を当ててしまう透視というジャンルがありますが、それでも疑い深い観客は何らかの方法でマジシャンがそれらの情報を事前に調べてきたのではないかと疑うことがあります。しかし、未来は事前に調べておくことは不可能です。観客自身でさえ知り得なかった行動を予め書き記されていた時は、もう驚くしかありません。
さらに予言マジックは演じた後に観客自身に色々な想像を膨らませる時間を特に長く与えるマジックだと思います。マジックの楽しさはマジックを観ている時間だけではなく、その後に「あれはああだったのでは?こうだったのでは?」と色々と想像する時間も含まれます。その与える時間、言い換えれば余韻が長ければ長いほど印象深いマジックということができます。
私自身、何度か経験したことなのですが、予言マジックを観せた観客に後日、再び会った時に、「あれってもしかして、予言したのではなくて私をコントロールして言わせたんじゃないですか?」と言われたことがあります。つまり、その観客はマジックを観た後に色々な推察をして、「未来を当てることは不可能だ。ならば何らかの方法で私をコントロールしたのでは?」という結論に達したのでしょう。
その推察が当たっているかどうかは別として、そうやって想像を巡らせてる時間も観客の楽しみの一部なのです。そしてその時間が長ければ長いほど、マジシャンに対する印象も強く観客の中に刻み込まれるのです。
私は初対面のお近づきになりたいと思った女性には高確率でこのマジックを観せます。理由は2つあります。一つめは事前の準備をほとんど必要としないこと。二つ目はズバリ、効果が絶大だからです。
もし、初対面の女性に強い印象を残すテクニックを手っ取り早くマスターしたいと思ってる男性がいたならば、予言マジックを強くお勧めします。